ロジャー・ウィリアム博士の「生命の鎖」という栄養バランス理論に感銘を受け、正常分子栄養学を34年研究。それに基づいた講演活動、健康相談を行う。
難病やがんの相談者に役立つ情報を求めて、米国ロサンゼルスで行われているがんコンベンションに1990年より参加。
ゲリー・F・ゴードン博士、アメリカがんコントロール協会副会長フランク・コージノー氏との出会いをきっかけにアメリカがんコントロール協会の日本支部を設立。
以後日本における本格的ながんコンベンションを毎年開催。
日本各地はもちろんアメリカ、台湾等で講演し、その参加者は100万人を超える。
国内外の代替医療について最新情報の提供とその普及に努める。
がんは怖くない!(第16回(2010年)日本がんコンベンションの開催前に取材)
がんコントロール協会は非営利団体として、通常のがん治療(手術・放射線・抗がん剤)を代替・補完する様々な自然療法・栄養療法の情報を提供しています。
ただしがん治療という点でいえば、「がんにならないこと」、つまり予防が一番大切です。現在、日本では、毎年30万人ががんで亡くなっています。
一方、がん患者が増え続けていたアメリカで、この7〜8年、がん患者が減り始めました。がんによる死亡者も一時は60万人を超えそうだったのがどんどん減って、50万人ぐらいになっています。がんの治療から予防へと、抜本的に考え方を変えたからなのです。
7〜8年前から、アメリカの国立がんセンターは、「がんの予防」を提唱し始めました。がんを予防するために無農薬有機栽培の野菜・果物・穀類を1日600グラム以上食べようという指針を出したのです。
具体的な食べ物として筆頭にあげたのがニンニクです。それも毎日食べたほうがよく、2番目が十字葉野菜。十字葉野菜というのは、ブロッコリーのように茎が十字の形になっている野菜です。キャベツの芯も十字に交差しています。アメリカ国立がんセンターががん予防の指針を具体的に出してから、アメリカのがん療法がガラッと変わったのです。
細胞が正常に分裂するのに必要な栄養というのはカロリーではありません。
カロリーももちろん必要なのですが、その前に必要なのがミネラルです。ミネラルがなければビタミンが働かない。ビタミン剤がいっぱい売られていますが、ミネラルがなければビタミンは働かないのです。
現代人はこのミネラルが不足しています。日本では無農薬有機栽培の作物は虫が食うといいます。ところがカリフォルニアで無農薬有機栽培の認定を受けている野菜をみると、ほとんど虫が食べていないのです。
カリフォルニアでは、40種類以上ミネラルが土に戻された畑で栽培された作物でないと有機栽培と認められません。日本にはそのような基準はありません。
アメリカもそうですが、窒素リン酸カリの化学肥料のせいです。日本では戦後、とにかく化学肥料を大量に畑にまきました。作物が大きく育ち、収穫が増えるからと。ところがその結果、土のなかのミネラルが足りなくなってしまったのです。作物の柄は大きいけれど虫が食うようになってしまいました。それで大量の農薬を散布するという悪循環に陥ってしまったわけです。
ミネラルがきちんと含まれていれば、虫は作物を食べられない。人間も同じです。ミネラルが十分とれている人はアトピーなどには絶対になりません。ミネラルを十分にとるためには、無農薬有機栽培の野菜・果物・穀類を食べることです。また海藻や小魚からも20種類から30種類のミネラルがとれる可能性があります。
それから二つ目は、植物栄養素をとることです。ビタミンAやBやC、それぞれ重要なのですが、そうしたビタミンを支えている栄養というものがあるのです。たとえば50〜60グラムのレモン一個にビタミンCが50ミリとか60ミリ含まれています。だいたいレモン一個の1000分の1がビタミンC。では1000分の999は何かというと、ほとんど水分です。しかし水分と言っても、たんなるH2Oとは違う。様々なミネラルなどが含まれているのです。だから栄養的に言えば、違う栄養がいっぱいあった上でビタミンCが存在しているからビタミンCがビタミンCの働きをするのです。
現在、2000種類の植物栄養物質がわかっています。そのうちニンニクには216種類が含まれています。だからアメリカがんセンターはニンニクを食べることを奨励しているわけです。安全な野菜・果物・穀類を、とにかく何でもたくさん食べることです。ただしその場合、電子レンジの問題があります。私の提唱する正常分子栄養学にて詳説しております(正常分子栄養学ヘルシーフードコンシェルジュHFC講座)。
通常療法(手術・放射線・抗がん剤)と代替療法を両立させることが必要です。それを「統合療法」と呼んでいます。
お医者さんの力をいっさい借りないで食事療法や温熱療法といった代替療法だけでガンを治療するというのは、患者さんや家族の負担が大きくなってしまいます。
しかし、抗がん剤に放射線を使った例では、国立ガンセンターの発表でも5%の患者しか治癒していません。あとの95%の方には今のがん治療は有効ではないのです。とにかく今、がん患者とがんによる死が増え続けています。だから通常治療がいいか代替医療がいいかではなく、総力戦でがんと闘わなければならないと思うのです。
最近の特筆すべきこととして、今年金沢大学の高橋豊という先生が『がんの休眠療法』という本を出版しました。抗がん剤を使うのですが通常100ミリ使うところを4分の1とか5分の1しか使わないのです。だから副作用はあまりでません。翌年になったらまた4分の1の抗がん剤を使う。がん細胞を根絶できなくても生きていられればいいという考え方です。
こうした高橋先生の「休眠療法」について、杉村隆さんという国立ガンセンターの名誉総長と武藤鉄一郎さんというがん研究病院の副院長が『医学界新聞』で絶賛しています。自分もがん細胞を全部殺せるはずがないと常々思ってきた、「医者が絶対読むべき本だ」と奨励しています。これは歴史的なことです。
とにかく今の日本のがん患者の増大は相当深刻です。生まれたばかりの赤ちゃんが子宮がんなんていう事例もありました。何のために産まれてきたんだろうということですよ。お母さんの栄養が足りなかったのかしれない、ダイオキシンの問題もあったかもしれない。
ロジャー・ウィリアムスという栄養学の先生の本を読むと、胎内でほぼ10才までに起きる病気は決まってしまうと言うのです。お母さんの血液の質が問題だからです。
だから女性にはきちんと栄養を摂取して生理痛も生理不順もない状態で妊娠してもらいたい。それではじめて子どもが産める環境が整うのです。特に若い女性には、おいしいものではなく、体にいいものを食べてほしいと思います。